ブログ物件不動産レポート

完了検査と用途変更の話

  • 売倉庫・売工場ブログ
  • 2020-09-25 09:41:53
倉庫/工場物件を買う前には、道路幅や間口、天井高、床の耐荷重などを調べ、どのように使うかイメージされると思いますが、その建物が将来の設計変更や用途変更にも耐えうるものであるか、検討はされていますか?例えば増築/減築する、工場を倉庫に変更する、といったことは果たして可能なのでしょうか?

そういった将来の様々な変化に対応できる物件かどうかについて、現時点で判断材料となるのが、重要事項説明時に交付される以下の書面/図面です。それぞれの書面の役割と、発行される時期、関係法令についても記載していますのでご参考ください。

【建築確認通知書】
いわゆる確認申請と言われるものです。建築基準法に基づき、建築着工前に指定確認検査機関や建築主事に対し、当該建築物が建築基準法に合致していることを確認する書面です。これが発行されているということは、少なくとも建築計画時点において、当時の建築基準法に照らして適法な建物の計画がなされ特定行政庁の承認を得ていた(必ずしもこれがあるからと言って、当該建築物が適法に建てられているという証左ではありません)ということになります。

【完了検査報告書】
上述の確認通知書と対になるもので、いわゆる済証と呼ばれるものです。こちらは建築完了時点で、確認申請の通りに建築されているかを確認した後に発行されます。この書面があるということは、当該建築物は確認通知書の通りに建築されたということです。ただしこの書面があるからと言って、当該建築物が現在において適法と言い切ることはできません、なぜなら完了検査の後に違法に増改築を行うことも、そういった指南も過去には横行していたからです。

【建築計画概要書】
この書面は一般的に役所にに保存されており、建築確認申請や完了検査を行った履歴を役所側で台帳として残しています。大体は1枚から2枚程度の最小限の情報しか記載されていませんが、建築物の所有者が確認通知書や完了検査報告書を紛失している場合は、この概要書が法適合性を担保する代替書面となります。この台帳記載証明があれば、検査済証の代用とできる場合がありますので、完了検査報告書がないからと言って諦めないで下さい。

冒頭で述べたような工場から倉庫への転用など(原則として規模が200㎡以内の変更、もしくは類似の用途間(カフェからバーへの変更、診療所から児童福祉施設への変更等)で行われる場合を除く)には、用途変更の確認申請が必要です。ただし完了検査報告書がない場合は、その建物の適法性を担保するものが無いことになりますので、用途変更は原則不可となってしまいます。

ただしこういった検査済証の交付を受けていない建築物が、平成11年以前の物件ではなんと半数以上を占めていたそうで(国交省H26年 建基法適合調査ガイドラインより)、国交省でも平成26年に「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を公表し、救済措置を整備しています。しかし手続の工程において、既存建物の適法性を示すことが必要となりますので、基礎の配筋やコンクリート強度をサンプルをとったり非破壊検査によって配筋を調べる必要があります。それらは用途変更の確認申請のスタートラインに立つためだけの手続きですが、これでも500~1,000万円程度は覚悟しなくてはならないと思いますし、もしコンクリート強度が足りない、配筋が足りない場合は目も当てられません。

今でこそ、確認申請/完了検査は当たり前に取得される時代となりましたが、こと中古物件の検討をされている企業様におかれましては、こういった書面の有無を確認頂き、将来設計に役立てて下さい。