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市街化調整区域の都道府県別面積比率

  • 売倉庫・売工場失敗談
  • 2019-09-12 09:40:07
弊社が運営する当サイト(売り倉庫ジャパン)もお陰様で順調に取り扱い物件数とアクセス数を伸ばしておりますが、残念ながら本社の所在する奈良県の取り扱いについては低調なままです。

理由は色々ありますが、その中で最も大きな理由が、『市街化調整区域が多すぎる』ということです。以下のグラフにも記載しますが、奈良県の土地面積に占める市街化調整区域の割合は、全国でダントツTOP!かつ唯一80%を超えています。さらに倉庫や工場などの立地を検討する場合はもちろん、駅前の市街化区域や周辺の住宅を形成する地域ではとても許可がおりない業種ですので、自然、駅や市街地から離れた幹線道路沿いになってくると思います。しかしそういった土地は軒並み市街化調整区域に指定されており、一般の企業が簡単に開発できる代物ではありません。

※市街化調整区域とは、簡単に言うと、市街化を抑制するエリアになり、居住用としても事業用としてもふさわしくなく、建築物を建てるためには行政から都市計画法の許可を受ける必要があります。さらに金融機関による担保評価も低く、融資申請が却下される恐れも大きいです。また地目が「農地」になることも多いので農地法の制限も受けます。またインフラ整備もほとんど施されておらず、電気・ガス・水道・汚水(浄化槽)・雨水の処理も必要であったり、水利権や調整池などの既存の権利による制限を受けたり(一部オウチーノ、articles/48190より要約)します。

奈良県だけでなく、山梨、鹿児島、福井、沖縄、長野、島根、岐阜、秋田、佐賀、和歌山など(こう聞くと人口の減少率とも相関性が疑われますね)市街化調整区域割合が大きい県で倉庫や工場立地を行うというのは至難の業です。行政側でも、人口減を食い止める!企業立地!雇用促進!と謳いながら、市街化調整区域での開発に大きなハードルを設けている矛盾を解消するために、様々な規制緩和措置を設けるのですが、そもそも多くの法律が交錯する中、開発・建築できるかどうか分からない不安定な中で予算を掛けて調査を行う、というのは民間企業が最も嫌うことで上手く活用されていません。正直なところ、弊社のサイトを利用される(中古の倉庫・工場の購入を検討されている)事業者様でも「市街化調整区域=NG」というリトマス試験紙的な考え方をされている方も多いです。

こういったことを書くのは問題があるかもしれませんが、市街化調整区域の面積が大きい県ほど、無許可で開発されていたり、建築基準法違反の建物であったりすることが多々あります。今後コンプライアンス意識は高まりこそすれ、薄れることはまずありませんので、このような複雑な規制緩和ではなく、本当は行政が「用途の見直し」を積極的に行い、インタージェンジなどの物流網や幹線道路に隣接する土地で不自然に存在する市街化調整区域を準工業などに見直していく、というのが理想だと思います。

規制緩和は結局のところ、一番面倒で時間のかかる「地権者の意見調整・集約や、近隣の合計形成」を開発を行う事業者(から委託を受けた建築士等)が行いますが、用途の見直しを行う場合は、こういった一番面倒な部分を行政が行います(実際には行政から委託を受けた業者が動きますが)。行政としては、見直しは人的資源、予算面でも大変なんだろうな、とは思いますが、開発する事業者側へその負担をすべて押し付けると、結局は事業者(人・モノ・金)は市街化調整区域の少ない都道府県へ流れていきます。

過去の弊社の取引事例の中でも、鹿児島県の姶良市などは、「用途地域は、概ね5年毎に見直しを行っていくことが都市計画の運用上必要とされており、社会情勢や都市構造の変化などを踏まえて変更を行います!」として積極的に取り組んでいる印象で、用途地域の見直しを上手くやっている市町村のひとつではないでしょうか。結局は行政の方々の仕事が増えるし、今あるルールを変える訳なので地権者から疎んじられたり怒鳴られることも多いだろうし、移行期間の措置などはトラブルの元にもなるのだと思います。姶良市でもどこでもそうですが、その地域が好きだからこそ、その地域が廃れていくのは嫌だし食い止めたい、多くの人に気に入って住んでもらいたい、立派な事業をしてもらいたい、という想いがあり、それがまちづくり(都市計画)を突き動かすのだと思います。

話がえらくエモーショナルにそれましたが、市街化調整区域自体が悪いのではなく、変わりゆく社会、人口構造、産業構造や集約傾向と分業化に併せて、市街化調整区域も増減していかないと、小手先の規制緩和だけでは事業者にとっても不便・非効率的だし、その地域は沈んでしまうのだと思います。こういった声が少しでも届き、反映され、より良いまちづくりに活かされることを願いながら、かつ事業者がコンプライアンスを遵守しやすい社会環境になることを願いつつ、今回のブログを締めたいと思います。